微熱が3日続いただけで急死することもある怖い肺炎

「かぜは万病のもと」といいますが、お年寄りにとっては「かぜは死因のもと」。がんや脳卒中、心筋梗塞など、死につながる病気はたくさんありますが、それらあまたの病気を伍して、最終的な直接死因の6割が肺炎です。お年寄りの肺炎では微熱だけの兆候しかないことが多く、手遅れになりがちですので、周囲の人が知っておいて十分に注意してあげましょう。

■微熱が続くだけでほかになんの症状もない
 お年寄りの死因のトップにある肺炎。解剖例によると、なんらかの慢性疾患で死に至った場合でもその7割に肺炎の兆候がみられます。このようにお年寄りにとっては曲者の肺炎ですが、若い人と違って、あまりはっきりとした症状がありません。若い人の場合には、高熱が出たり、息苦しくなったり、胸が痛くなったりという激しい症状を現しますが、お年寄りの場合には、ほとんどが微熱だけ。その70%は微熱だけの症状で、せきやたん、胸の痛み、胸苦しさといった症状がありません。もし、高熱が出れば、その熱が何であれ、たいていの場合には受診を勧めますが、37度台の微熱にあっては気になりつつも本人もがまんしてしまうケースも少なくありません。ところが、原因が肺炎の場合、この微熱だけの兆候のまま3日もがまんすると、すっかり重症に陥ります。重症になると、意識障害がおこります。意識障害といっても、倒れたりすることはなく、ただぼんやりする、物事が感じられなくなる程度ですから、よけいに自覚症状を感じたり、それを家族などに訴えることもなく、自分も周囲も気づかないまま、手遅れになってしまいがちです。 そのため、受診した翌日には死亡したという例も少なくなく、そういう人のほとんどは胸苦しい、息苦しいといった肺の症状をまったく訴えることなく死に至っています。
■抵抗力の低下が何よりもの原因に
 肺炎がおこるルートには、なんらかの慢性疾患(糖尿病や心臓病、呼吸器の病気、腎不全、肝臓病など)があっておこす場合と、気管支などから細菌が肺に入って増殖する場合があります。肺炎をおこす原因菌の中で最も多いのは肺炎球菌。一般的な肺炎の中の約3分の1を占めています。インフルエンザのウイルスやかぜのウイルスが直接肺に入っておこるウイルス性肺炎もありますが、お年寄りの場合には、かぜのウイルス感染によって抵抗力が落ち、上気道あたりに常に存在している細菌(常在菌)が肺に入ることによっておこる細菌性の肺炎のほうが圧倒的に多くなっています。高齢になると誰でもある程度の慢性気管支炎や肺気腫がおこりますが、こうした肺の老化が病気のレベルにまで到達していると、肺炎をより進行させてしまうことがあるので、よけいに注意が必要です。
■かぜかなと思ったらとにかくすぐにかぜ薬を
 こうしたいくつかある肺炎のルートですが、いずれにしてもほとんどは老化がリスクになっています。したがって確実な予防法はなく、日常的に注意することもほとんどありません。だからといって何の方策もないわけではありません。まず、かぜに負けない抵抗力を高めるような日常生活をすることです。また、熱に敏感になりましょう。微熱の場合には気づかないこともあれば気づいてもがまんしてしまうこともあります。微熱が出て2~3日下がらない場合には、まず肺炎を疑いましょう。とはいってもかぜをひきやすい時期にはかぜ気味で熱っぽい感じがすることはよくあります。そこで、かぜかなと思ったら、とにかくかぜ薬を飲んでください。鼻水、のどの痛み、せきなどのかぜの兆候がなくても、「あやしい」と思ったら、とにかくかぜ薬を飲むことです。寒けがする、ちょっとだるい、ちょっと頭が痛い・重い、というときでも、まずかぜ薬を飲みます。食前でも食後でも食間でもかまいません。とにかくかぜ薬を服用しましょう。そのくらいのことで副作用を心配することはありません。そして様子をみます。もし、それで症状がよくなるようなら、肺炎の心配はありません。本当にかぜですから、今度がそのかぜが悪くならないように、早め早めに手当てをしていきます。もし、かぜ薬を飲んでもが改善できず、微熱も下がらないようなら、肺炎を疑ってとにかく早急に受診してください。自分でも「これで本当に肺炎?」と疑うくらいに軽微な症状かもしれませんが、お年寄りの肺炎では、そんな程度のものであることを覚えておきましょう。病院に行ったときには、医師に「かぜかもしれない」というのではなく、「肺炎かもしれない」と告げてください。そのほうが効率のよい治療が受けられます。その時点でレントゲン撮影をすれば、肺炎が確認できるし、検査によって菌を確認し、抗生物質によって抑えることもできます。でも、いったん重症になると、これだけ多くの抗生物質が開発されているというのに、どんな抗生物質も効かなくなってしまいます。
■抵抗力を低下させる発熱に徹底的に対処
 かぜ薬を飲んで症状が緩和され、肺炎ではなかったからといって安易に考えないでください。それこそ「かぜは万病のもと」ですから、今度は、そのかぜから肺炎をおこすかもしれません。そこで、かぜをひいたらとにかく発熱を避けるようにします。熱を出すと、体力が消耗し、食欲低下、水分不足におちいり、、脱水症状をおこし、さらに熱が高くなる、という悪循環におちいります。そして抵抗力がどんどん弱まっていくと、ウイルスによる肺炎や上気道感染から進行する細菌性の肺炎もおこしやすくなります。したがって、かぜの場合でも、とにかく熱を下げることが急務。副作用のことなど心配せずに、とにかく解熱剤をできるだけ早く使用することです。そしてできるだけ安静にして体力の消耗を少なくし、最低1500ミリリットルの水分だけは確保してください。食事ができるときには、500~700ミリリットルを水分として補給します。どんなに食欲がなくても、最低これだけは飲む必要があります。それができない場合には、点滴の必要がありますから、施設での手当てが必要になります。

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