女子サッカー「なでしこ」の澤穂希を襲った「良性発作性頭位めまい症」

 長く立っていたときや突然立ち上がったときなど、クラッとめまいを感じることは誰にでもあります。でもそのときのめまいは、自分がクラッと揺れているのであり、周囲の風景が揺れ動いているのではないはず。これは本当のめまいというよりも、めまい感と表現したほうが正確かもしれません。なでしこの澤穂希選手のめまいは、このめまい感に近い「良性発作性頭位めまい症」と診断されました。

■めまいの中でも最も多い「良性発作性頭位めまい症」
 めまいなど風邪に似た症状で原因不明の体調不良を訴え、五輪予選のアメリカ戦、ドイツ戦などを欠場した澤穂希選手。突然の欠場に「スワッ、妊娠か」とネットでは大騒ぎ。病院での検査の結果「良性発作性頭位めまい症」と診断されました。これはめまいの中で最も多い病気で、めまいを訴えて受診する人の4~5割の人がこの病気かその疑いと診断されています。
■頭の位置を動かすとクラッとする
 良性発作性頭位めまい症とは、横になった位置から立ち上がろうとしたときや、突然横になったとき、寝返りを打ったとき、上を見上げた瞬間などにクラッとしためまいに襲われます。めまいをおこす頭の位置はたいていはいつも決まっていて、この位置を『めまい頭位』と呼びます。めまい頭位は人によって異なり、洗濯物を干そうとして上を向いたり髪を洗おうとして下を向いたときなど、さまざまなケースがあります。澤選手の場合にも、一定方向をみると症状が現れるとコメントしていました。めまい頭位にしたとたん、すぐにめまい症状が現れますが、たいていは数秒から2分以内に治まります。症状にはばらつきがあり、回転性の激しいめまいをおこす場合もあれば、軽い立ちくらみ、平衡感覚失調のこともあります。回転性のときには、吐き気や嘔吐を伴うこともありますが、頭位めまいのときには、耳鳴りや難聴はおこりません。
■繰り返し体験するうちに慣れも
 40~60歳代の女性に多くおこりますが、原因ははっきりとわかってはいません。私たちの体は、常にバランスを保っている仕組みになっており、このバランス感覚は耳の奥の内耳にある蝸牛や三半規管などの平衡器から脳の中に信号を伝える前庭神経、そして脳が一体となって支えています。長く立っていたり、突然立ち上がったりするときにクラッとめまいを感じるのは、視覚と体性神経から脳に伝わる情報に一時的に障害がおこるからで、頭の位置を急激に動かしたときに異常が生じる、頭の急激な位置の変化を過敏に感じてしまう結果ということができます。また、内耳の耳石器(頭の傾きや重力を感知する器官)にある耳石(炭酸カルシウムでできた小さな結晶)が何らかの原因で脱落し、半規管内に落ちて浮遊することでめまいがおこるとも考えられています。さほど深刻な病気ではなく、繰り返し体験するうちに慣れてきて、症状も軽くなり、やがてめまいを感じなくなることも多いので、積極的にめまい頭位をとって慣れることが改善につながったりすることもあります。また、半規管内の耳石を転がして移動させ、元の位置に戻す治療法もあります。

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