「インフルエンザ」とふつうのかぜと違う!

 世界のどこかで火の手が上がると、瞬時に日本にも飛び火するインフルエンザ。これまでにスペインカゼ、アジアカゼ、香港カゼなどといわれ、周期的に大流行。何千万人もの生命を奪ってきました。10年から40年周期で大流行をくり返してきたインフルエンザ。現在のA型インフルエンザウイルスは、香港型では出現してから30余年が、ソ連型では20数年が経過しています。したがって、いつ再度流行してもおかしくはない時期ともいえるのです。もし今、大流行したら、国民の4人の1人はかかるといわれています。

■特定のウイルスがおこす呼吸器疾患
 なぜか日本ではインフルエンザを簡単に「ひどいかぜ」「重い症状のかぜ」と考えがち……とんでもありません。かぜとはまったく違う病気といえるほど、インフルエンザは生命の危険すらともなう怖い病気なのです。インフルエンザといわゆる「かぜ(かぜ症候群)」を混同してはいけません。インフルエンザは、インフルエンザウイルスという特定のウイルスの感染によっておこる呼吸器疾患です。一般にインフルエンザの症状は重く、突然発症します。38℃を超える発熱、悪寒、倦怠感、関節痛、筋肉痛などの全身症状が強くみられるのが特徴で、かぜのような鼻水やのどの炎症、せきはあまり目立ちません。また、気管支炎、肺炎などを併発して重症化することが多く、特に小児や高齢者、心臓病などの基礎疾患がある人に重症化しやすい傾向があります。単なるかぜがいかに流行しても死亡者はあまり増えませんが、インフルエンザが流行すると、死亡率がふだんよりもずっと高くなるという点でも大きな違いがみられます。
■空気中では増えず、粘膜の細胞に侵入して増殖
 ウイルス……誰でも知っている言葉でも、その正体となると、案外わかっていないものです。ウイルスとは、細菌などの微生物とは異なり、生きた細胞の中でだけ増えることができます。インフルエンザウイルスは、直径1万分の1ミリの大きさの多形性のウイルス。ほかのウイルスと同様に、空気中や土壌中などで増えることができず、ヒトに感染した場合は、鼻腔や咽頭粘膜の表面の上皮細胞に侵入して増殖します。インフルエンザウイルスは、中心にある核タンパクの型により、A型・B型・C型の3つに分類されます。表面膜はヘマグルチニン(?HA)?とノイラミニターゼ(NA)という2種類のとげのような糖タンパクでおおわれており、A型では、HAに15種、NAで9種の亜型があり、その組み合わせでさらに細かく分類されます。A型はヒト以外にもブタやトリなどの動物にも広く分布しています。つまり、A型インフルエンザウイルスは人畜共通感染症であり、これまでにも世界中で大流行を記録しています。B型はヒトに感染し、A型と同様に流行をおこします。C型もヒトに感染しますが、大きな流行はおこしません。日本では、インフルエンザの近年の流行のピークは1月から2月。11月下旬から12月上旬ころに発生がはじまり、4月には終息するというパターンをたどります。ただし、流行の規模とピークの時期は、その年によって異なります。この数年間、ヒトの世界で流行しているのは、Aソ連型(H1N1)ウイルス、A香港型(H3N2)ウイルス、B型ウイルスの3種類。世界各地の研究機関がウイルスの動向調査を行っています。
■突然に変異し、新型インフルエンザの誕生に
 毎年のようにインフルエンザが流行していますから、もう人間の体の中には、ほとんどのウイルスの抗体があってもよさそうに思えますが、ウイルスの表面にあるHAとNAは同一の亜型であり、わずかに抗原性を変化させるため、A型ウイルスは巧みにヒトの免疫機能から逃れつつ、流行し続けることができる優れモノです。こうしたわずかに変異しながら存在し続けることを「連続変異」といい、いわばマイナーモデルチェンジ。抗原性の変化が大きくなるほど、以前に同型のウイルスに感染していたとしても、再び感染することになってしまいますから、抗原性に差があるほど感染しやすく、感染を受けたときの症状も重くなります。また、A型ウイルスは8本の遺伝子をもっていますが、2種類以上のウイルスが同時にひとつの動物に感染すると、遺伝子の交雑がおこり、突然、別の亜型にとって代わることがあります。これがウイルスのフルモデルチェンジにあたる「不連続変異」。いわば突然変異、新型インフルエンザウイルスの誕生です。とくに、ブタはヒト型ウイルスやトリ型ウイルスにも感染するため、さまざまな組み合わせのウイルスをつくり出す可能性があり、とくにA型ウイルスの不連続変異に大きく関係しているといわれています。

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